研究概要 |
本年度はin vitro培養系で、グリア細胞の機能について解析した。ミクログリア細胞の純粋培養系を確立した。ミクログリアは脳梗塞時に活性化されること、またリポポリサッカライド(LPS)はミクログリアを活性化させることが知られている。そこで我々は、LPS処置ミクログリアをin vitoro梗塞モデルとして実験を行った。15-deoxy-Δ^<12,14>prostaglandinJ_2 (15d-PGJ_2)およびインターロイキン-4(IL-4)により、ミクログリアにおける誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)およびシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)誘導が抑制された。一方、ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)は15d-PGJ_2により誘導され、この誘導はIL-4の影響を受けなかった。このように、ミクログリアの活性化および抑制メカニズムには様々な因子が関与しており、またクロストークしていることが示唆された。また、ミクログリアのLPS処置、未処置によりretinoid-X receptor-α (RXRα)とglucocorticoid-attenuated response-gene-16(GARG16)遺伝子発現が異ることを見出し、ラットGARG16遺伝子の遺伝子配列を決定した。これらの遺伝子発現には、ある種のプロテインキナーゼが関与していた。さらに、RXRαとGARG16遺伝子は、ミクログリアに活性化および非活性化のスイッチを制御している可能性が示唆された。また、アミロイド性脳出血に関与するβ-アミロイドがミクログリアにより貧食・除去されること、さらにある種のストレス蛋白質によりこのクリアランスが活性化されることも見出した。
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