研究概要 |
センダイドはサブスタンスP(<Arg>^^^1-<Pro>^^^2-<Lys>^^^3-<Pro>^^^4-<Gln>^^^5-<Gln>^^^6-<Phe>^^^7-<Phe>^^^8-<Gly>^^^9-<Leu>^^^<10>-<MetNH_2>^^^<11>)構造のC-末端フラグメントであるサブスタンスP(6-11)を他のアミノ酸に置換したサブスタンスPアナログである。センダイド(Tyr-D-Phe-Phe-D-His-Leu-MetNH_2)および[D-Arg^7]含有センダイド(Tyr-D-Arg-Phe-D-His-Leu-Met-NH_2)[D-Arg^7]センダイドの脊髄クモ膜下腔内(i.t.)投与は、用量依存的にサブスタンスP誘発性疼痛関連行動(scratching, biting, licking)を抑制することをすでに確認している。NK_1受容体拮抗作用の他オピオイド活性を強く有すると思われる[D-Arg^7]センダイドの行動薬理学的特徴について、マウスを用いてさらに検討を加えた。 1)サブスタンスP誘発性疼痛関連行動に対する[D-Arg^7]センダイドの抑制効果持続時間 サブスタンスP(100pmol)と[D-Arg^7]センダイトを同時にi.t.投与すると、[D-Arg^7]センダイド0.5pmolはサブスタンスP誘発性疼痛関連行動を60分間有意に抑制した。[D-Arg^7]センダイド4.0pmol投与では120分間の有意な抑制効果を示した。 2)[D-Arg^7]センダイドのサブスタンスP誘発性疼痛関連行動抑制作用に対するオピオイド受容体拮抗薬ナロキソンの効果 [D-Arg^7]センダイド0.125pmolによるサブスタンスP誘発性疼痛関連行動抑制作用はナロキソン4.0mg/kg(i.p.)の前処置により、有意な拮抗作用を示したが、ナロキソン1.0および2.0mg/kg(i.p.)では無影響であった。しかし、[D-Arg^7]センタイド1.0pmolによるサブスタンスP誘発性疼痛関連行動抑制作用はナロキソンの低用量(0.5mg/kg, i.p.)の前処置により、有意な拮抗作用を示した。 以上の結果より、[D-Arg^7]センダイドの比較的低用量によるサブスタンスP拮抗作用は、ナロキソン1.0〜2.0mg/kg(i.p.)前処置で無影響であったことから、オピオイド受容体のうち少なくともmu受容体に対する関与は少ないものと思われる。しかし、[D-Arg^7]センダイドの用量が増加するとナロキソン0.5mg/kg(i.p.)前処置で回復することより、muオピオイド受容体の関与が増加すると考えられる。
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