1 センダイドおよび〔D-Arg^2〕センダイドのサブスタンスP誘発性疼痛関連行動に対する効果 サブスタンスP(100pmol)を脊髄クモ膜下腔内(i.t.)へ投与すると、投与直後より疼痛関連行動(scratching biting licking)が認められた。センダイド(0.0625-1.0pmol)のi.t.投与は用量依存的にサブスタンスP誘発性疼痛関連行動を抑制し、そのED_<50>値は0.3pmolであった。〔D-Arg^7〕センダイド(31.25〜500fmol)のi.t.投与はサブスタンスPによる疼痛関連行動を用量依存的に抑制し、そのED_<50>値は11.55fmolであった。 2 センダイドおよび〔D-Arg^2〕センダイドの抑制持続時間 センダイド40pmolはサブスタンスP(100pmol)による疼痛関連行動を120分間、有意に抑制した。センダイド8.0pmol投与では180分間の有意な抑制効果を示した。〔D-Arg^2〕センダイド0.5pmolはサブスタンスP誘発性疼痛関連行動を60分間有意に抑制した。〔D-Arg^2〕センダイド4.0pmol投与では120分間の有意な抑制効果を示した。 3 センダイドおよび〔D-Arg^7〕センダイドのサブスタンスP誘発性疼痛関連行動抑制作用に対するナロキソンの効果 センダイド1.0pmolによるサブスタンスP誘発性疼痛関連行動抑制作用は、ナロキソン0.5-4.0mg/kg(i.p.)の前処理によって影響をうけることはなかった。一方、〔D-Arg^2〕センダイド0.125pmolのサブスタンスPに対する抑制作用はナロキソン4.0mg/kg(i.p.)の前処置により、有意な拮抗作用を示したが、ナロキソン1.0および2.0mg/kg(i.p.)では無影響であった。しかし、〔D-Arg^2〕センダイド1.0pmolによるサブスタンスP誘発性疼痛関連行動抑制作用はナロキソン低用量(0.5mg/kg.i.p.)の前処置により有意な拮抗作用を示した。 4 センダイドのマウス脊髄内NK1受容体結合試験 マウス脊髄シナプス膜標本と〔^3H〕-サブスタンスPとの結合実験において、未標識のサブスタンスPは〔^3H〕-サブスタンスPとの結合を阻害し、Ki値は3.3±0.7nMであった。センダイドのKi値は0.004±0.001nMであり、未標識サブスタンスPよりも825倍強力な結合能を示した。 5 センダイドのマウス脊髄内ミューおよびデルタ受容体結合試験 マウス脊髄シナプス膜標本と〔^3H〕-DAMGOを用いたミュー受容体結合実験において、未標識のDAMGOは〔^3H〕-DAMGOとの結合を阻害し、そのKi値は0.955±0.08nMであった。センダイドのKi値78.3±14.9nMであり、未標識DAMGOの約1/100の結合力であった。また〔^3H〕-〔D-Ala^2〕-dltorphin IIを用いたデルタ受容体との結合実験において、未標識の〔D-Ala^2〕-deltorphin IIは〔^3H〕-〔D-Ala^2〕-deltorphin IIとの結合を阻害し、そのKi値は13.7nMであった。センダイドのKi値は220.0±45.4nMであり、未標識〔D-Ala^2〕-deltorphin IIの約1/16の結合力であった。 以上の結果より、センダイドおよびセンダイド〔D-Arg^2〕センダイドは比較的低用量のi.t.投与によりタキキニンNK_1受容体拮抗作用のみを示し、用量の増加に伴いオピオイド受容体に対するアゴニスト作用を発揮するものと推測される。
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