研究課題/領域番号 |
12672236
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
保嶋 実 弘前大学, 医学部, 教授 (90142934)
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研究分担者 |
庄司 優 弘前大学, 医学部, 助教授 (10226300)
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キーワード | 連関解析 / 内皮型NO合成酵素 / 高血圧 / 一塩基多型(SNPs) / アンジオテンシン変換酵素 / 遺伝子相互作用 |
研究概要 |
本年度の研究実施計画 内皮型一酸化窒素合成酵素(ecNOS)とアンジオテンシン変換酵素(ACE)はそれぞれ降圧系と昇圧系を代表する分子であり、各々の遺伝子多型は単独あるいはともに循環器疾患や腎疾患の遺伝的要因となりうることはよく知られている。今回、ACEとecNOS遺伝子多型の血圧の個人差への関与の有無を検討するために、一般住民におけるACE I/DおよびecNOS Glu298Asp多型の遺伝子型相互の血圧の比較を行なった。 【方法】対象は無作為に抽出され、検討に同意の得られ降圧剤を含む血圧調節に影響をおよぼす薬剤の投与を受けていない一般地域住民617例である。その平均年令は51.0±15.6才、男性214例、女性403例である。末梢血よりDNAを抽出し、特異的プライマーをもちいたPCR法でACE I/D遺伝子型を、また、Ban IIおよびMbo Iを用いたRFLP法によりecNOS Glu298Aspの遺伝子型を解析し遺伝子型別の血圧値を比較した。 【成績】ACE I/I、I/D、D/Dの頻度はそれぞれ46.7、42.6、10.7%、また、ecNOS Glu/Glu、Glu/Asp、Asp/Aspの頻度は81.4、17.2、1.4%であった。ACE I/D多型およびecNOS Flu298Asp多型との間には連鎖は認められなかった。しかし、ecNOS Glu/Glu群では135.8±20.2/81.2±12.1 mmHgでI/D、D/D多型群とまったく差は認められなかった。しかし、ecNOS Glu/Glu群では134.5±20.5/81.1±12.1mmHg、Glu/Asp+Asp/Asp群は138.7±20.2/81.5±11.9mmHgで、Glu/Glu群の収縮期血圧が有意に低値であった(p<0.05)。他方、この差はどのACE I/D遺伝子型でも増強や減弱は認められず、反対に、ACE遺伝子多型各群におけるecNOS多型の関与も認められなかった。 【結論】ecNOS Glu298Asp多型は収縮期血圧の個人差に関与している可能性がある。しかし、ACE I/D多型は直接的にもあるいはecNOS Glu298Asp多型を介しても血圧の個人差に関与していない可能性が考えられる。
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