がんにおける薬剤耐性の遺伝子診断法の確立

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12672237
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 舩渡 忠男 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70165455)
• 研究分担者: 亀岡 淳一 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (30261621) ; 張替 秀郎 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (50302146)
• キーワード: 薬剤耐性 / 遺伝子診断 / 薬剤耐性遺伝子 / 定量PCR法

研究概要

白血病における抗がん剤耐性獲得に関する研究は平成12年度ではcytosine arabinoside(AraC)耐性についてその機序解明を行い、deoxycytidine kinase(dCK)遺伝子の関与様式を明らかにした。平成13年度においては薬剤耐性関連遺伝子の定量的検出法の確立を目指し多剤耐性に関与する遺伝子としてMDR1及びMRP、AraCについてはdCKを対象にreal-time RT-PCR法による遺伝子発現の定量的評価を行った。その結果、本定量法は良好な希釈直線性および再現性を示すことが確認され、十分に急性白血病患者からの臨床材料の評価として応用可能であることを明らかにした。また、本定量法は従来の薬剤感受性試験と良好な相関性を示したことは、簡便で迅速なことから臨床検査に導入可能であることを示した。とくに、臨床検体での治療抵抗性と多剤耐性遺伝子の発現量との関連性が示唆された。本法による遺伝子発現定量は薬剤耐性化の予測に有用であることを示した。さらに、耐性機序解明に向けてAraC耐性細胞と感受性細胞でのcDNAマイクロアレイでの発現の比較検索を行い、幾つかの特異的発現を来している遺伝子を同定した。それらの遺伝子がAraC耐性獲得や感受性に関与するかは現在解析中である。したがって、本年度は薬剤耐性関連遺伝子発現の定量的評価を行い、臨床的有用性を明らかにした。さらに、臨床材料では正常細胞も混入した評価のため、白血病細胞を単離しての白血病細胞に特異的な遺伝子発現の評価の試みを行っている。

研究成果

• [文献書誌] Funato, T., et al.: "Modification of the sensitivity to cisplatin with c-myc over-expression or down-regulation in colon canter cells"Anticancer Drugs. 12(10). 829-834 (2001)
• [文献書誌] Kameoka, J., et al.: "Autoimmune neutropenia in pregnant women causing neonata1 neutropenia."Br.J.Haematol. 114(1). 198-200 (2001)
• [文献書誌] Funato, T., et al.: "Use of c-myb antisense oligonucleotides to increase the sensitivity of human colon cancer cells to cisplatin"Oncol Rep. 8(4). 807-810 (2001)
• [文献書誌] Funato, T., et al.: "Increased sensitivity to cisplatin in gastric cancer by antisense inhibition of the neu-2/neu(c-evbB-2)gene"Chemotherapy. 47(4). 297-303 (2001)
• [文献書誌] Satou, J., Funato.T., et al.: "Quantitative PCR determination of human cytomegolovirus in blood cells."J.Clin. Lab. Anal.. 15(3). 122-126 (2001)
• [文献書誌] Funato, T., et al.: "Increased sensitivity to cytosine arabinoside in human leukemia by c-raf-l antisense oligonucleotides"Anticancer Drugs. 12(4). 325-329 (2001)