研究課題/領域番号 |
12672241
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
勝山 努 信州大学, 医学部・臨床検査医学, 教授 (90020809)
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研究分担者 |
太田 浩良 信州大学, 医療短期大学部, 教授 (50273107)
中山 淳 信州大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (10221459)
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キーワード | 単球 / 高比重リポ蛋白(HDL) / アポHDL / HDL結合蛋白 / アフィニティクロマトグラフィ |
研究概要 |
本年度、我々はヒト単球細胞表面に存在するHDL結合蛋白のリガンドとしてpre-βHDLとの結合性についての検討を行った。さらにヒト単球細胞からのHDL結合蛋白の精製を行い、ヒト単球細胞を界面活性剤で溶解した検体を用いたHDL結合蛋白の測定系を開発した。末梢細胞からの遊離コレステロールの引き抜きに重要な役割を果たすpre-βHDLはアポ-AIを主要とし脂質含量が少なく電気泳動でβ分画の位置に泳動されるHDL中の亜分画である。単球中のHDL-結合活性はpre-βHDLと親和性を有するが、アポ-AIの分解産物を含むpre-βHDLの水解物質に対しては親和性が減少することを認めた。pre-βHDLは単球中のHDL-結合蛋白の重要なリガンドであるが、pre-βHDLの水解がHDL-結合蛋白との結合の調節段階となる可能性を示した。次いで、ヒト単球からのHDL結合蛋白の精製は、界面活性剤により可溶化した単核球分画を用いてDEAE-イオン交換クロマトグラフィー、小麦胚(WG)レクチン-アフィニティクロマトグラフィ、次いでアポHDL-アフィニティカラムクロマトグラフィ-によりおこない、約120kDaおよび100kDaのHDL結合蛋白を回収した。精製HDL結合蛋白は、逆相高速液体クロマトグラフィ(RP-HPLC)により疎水性の高い蛋白であることがみいだされた。精製HDL結合蛋白および精製法を利用して、単球中の界面活性剤(CHAPS)溶解検体を用いたHDL結合蛋白の測定系を開発した。apoHDLをマイクロプレート穴にコーティングし、CHAPS溶解検体を反応させた後にペルオキシダーゼ標識WG-レクチンを反応させてクロモゲン発色により検出できた。再現性、直線性などの基本性能は良好であった。HDL結合蛋白の検出の特異性も優れており、ヒト単球のCHAPS溶解検体からHDL-結合蛋白の測定が可能となった。
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