研究概要 |
ATL細胞をaberrant Fas-signalingに基づく造腫瘍機序の自然の実験系として、昨年までに(1)Fas mutationとアポトーシス病態の関係を総説的にまとめ(Advance in Clinical Chemistry,36:109-137,2001)、次いで、(2)Fas直下の細胞内刺激伝導系のキー酵素であるcasp-8のsplicing異常とFas病態についてまとめた(Brit J Heamatol. 114:63-69,2001)。 今年度は、Fas-signalingを負に調節する抗アポトーシス因子サーバイビン(SVV)について主に検討した。本SVVは、胎生期に高発現し成人組織には出現しないとされフェト蛋白の様な動態をとるために,臨床的には「がん」の広範囲な腫瘍存在マーカーとなることが示唆されている。 従って、まず最初に通常のRT-PCRで発現のスクリーニングを行った後に、real-Time PCR LightCycler Technology(Roche)を応用して定量系を確立した。最初に、mRNAの質の基礎的検討を加えた後に、外部標準物質としてSVVcDNAをpGEM^R-T Easy Vectorに組み込み、開環後10#7-10#0まで希釈し、広い直線性を確保した。発現量の評価は、GAPDH house-keeping geneに対する比で行った。その結果、正常リンパ球は、undetectableであったがATLでは全例で発現亢進があり、とくに慢性型よりも急性型・cell-linesで高度であった。また、臨床経過とその発現レベルは平行して変動した(日本臨床検査自動化学会誌、26:601-606,2001)。現在、この高発現SVVのsequenceを行い、wild or mutated typeかの検討を行っている。
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