研究概要 |
妊娠20週と30週の正常妊婦のそれぞれ36人,53人から末梢血を採取し,血清を-40℃にて凍結保存した。解凍後ELISAにてM-CSF濃度を測定した。対象を分娩まで追跡し,妊娠中毒症を発現した群(中毒症群,20週13人,30週14人)と正常妊娠を維持した群(正常群,20週23人,30週39人)の2群に分けた。妊娠20週と30週の妊婦のそれぞれについて年齢と妊娠週数は両群間に有意差を認めなかった。M-CSF濃度は妊娠20週で中毒症群1401±420(U/ml,M±SD),正常群897±162であり,妊娠30週で中毒症群1391±325,正常群1043±190であった。妊娠20週でも30週でも中毒症群の方が正常群に比して有意(p<0.001)に高値であった。したがって妊娠中毒症の症状が発現する以前の妊娠20週および30週の時点で,妊婦の体内で将来妊娠中毒症を発症する変化が進行していることが確認された。この結果を英語論文にまとめ,現在投稿中である。 年齢と妊娠週数に有意差のない妊娠38週の正常妊婦19人と中毒症妊婦18人を対象として,その分娩直後に胎盤組織を切離し急速凍結した。凍結胎盤約1gを溶解液10mlに添加後均質化した。その溶液2mlを遠沈後,上清を凍結保存した。解凍後M-CSF,IL-2,総蛋白(TP)濃度を測定し,総蛋白濃度で較正した胎盤中cytokine濃度を算定した。M-CSF/TPは正常群が96.3±21.6(U/mg protein),中毒症群は115.6±29.0で中毒症群の方が正常群に比して有意(p<0.05)に高濃度であった。この結果を英語論文にまとめ,現在投稿中である。IL-2/TPは正常群が4624±2328(pg/g protein),中毒症群は3269±1669で正常群の方が中毒症に比して有意(p<0.05)に高濃度であった。この結果をもとにして現在英語論文を執筆中である
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