昨年までに株化細胞の培養上清中に分泌される血清アミロイドA(SAA)蛋白の高感度測定法を確立し、肝癌細胞株HepG2と単球細胞株THP-1細胞でSAA産生の刺激因子の作用様式が異なることを見い出した。本年度は、SAA産生に対する各種薬剤の影響を調べた。中でも抗高脂血症剤でありながら、抗炎症作用が注目されているフィブレートを取り上げた。両細胞株においてフィブレートは用量依存性にサイトカイン誘発のSAA産生を抑制した。ただしHepG2では同時に測定したトランスサイレチン(TTR)への影響(ここではhouse keeping geneとして)も考慮すると、薬剤高濃度では細胞毒性が主となることがわかった。THP-1ではTTRの分泌が明らかでないため、毒性については今後、別途検討する必要が残った。フィブレートをマウスに経口投与して、炎症刺激を与えたところ、血清SAA濃度の上昇は劇的に抑制され、炎症持続の結果起こるべきアミロイド沈着も劇的に抑制された(論文投稿中)。以上はフィブレートのアミロイドーシス治療剤としての可能性を示唆するものであり、この機序における単球/マクロファージの関与を今後検討していきたい。
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