AAアミロイドーシスは線維化能を有する血清アミロイドA蛋白(SAA)の過剰産生と、プロセッシングの異常で起こると説明されている。マクロファージはSAA代謝、アミロイド線維形成の中心的細胞であり、かつ自身がSAAを産生するというユニークな特徴を持つ。本研究では単球性白血病細胞株THP-1をマクロファージのモデルにして、SAAの産生調節を肝癌細胞株HepG2と比較の上検討した。成果として(1)HepG2ではIL-1とIL-6が相乗作用を示すが、THP-1ではIL-1が主たる刺激因子でIL-6の作用はない。(2)コルチコステロイドの共存はHepG2においては産生増加作用を示すが、THP-1においては必須因子である。4THP-1ではコルチコステロイドの存在下、培養に用いるウシ胎児血清(FCS)の共存のみでもSAAが産生される。SAA産生を促すFCS中の因子は複数ある。ことが示されたれた。グルココルチコイドが存在すれば、血清環境下でSMが産生されることが示され、臨床例での治療に参考されるべき所見と考えられた。次にTHP-1培養系に外来性にSAAを添加し、線維形成モデルの作製を試みた。結果的にコンゴーレッド陽性になるような明確な線維は形成されなかったが、SAAの細胞凝集効果が明らかになった。また抗高脂血症薬であるフィブレート誘導体がSAA産生を抑制することをマウスin vivo実験とHepG2培養系で確認した。マウス実験では炎症惹起の結果としてのアミロイドーシス発症が抑制され、本薬剤の治療への応用の可能性が示された。
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