研究概要 |
日本人とミャンマー人の遺伝性血液疾患について分子論的解析を行った. 1.日本各地からの約200検体の血液疾患について,タンパク構造およびDNAの解析を試み,42検体の異常Hbの構造を決めた.新しいHbとして,Hb Tamano(α89His→Arg),Hb Tsugawa(β120Lys→Thr)の同定のほか,CD69-70間にLeu-Glyの挿入が認められるHb Nishinomiyaを同定した.そのほか,β-サラセミア(Thal)24検体(-31Cap A→G,CD90G→T,CD127-128-AGG,CD85+Tなど),α-Thal 10検体(α-Thal-1:--^<SEA>遺伝子型)など同定した. 2.ミャンマー国の異常ヘモグロビン症特にThal症の遺伝子解析による病態を明らかにした.末梢血検査からThalと診断された190検体について,溶血液のDEAE-HPLC法解析,DNAのARMS法,PCR-RFLP法やPCR-シーケンス法解析を行った.約60%にHbEを認め,既知の4種のβ-Thal(CD41/42-TCTT,IVSI-1G→T,IVSI-5G→C,CD17A→T)のほか,新たにIndian型(-619bp del),-28CapA→G,IVS II-654C→Tや外国では珍しい-31CapA→Gの存在を明らかにした.α-Thalについては--^<SEA>型のα-Thal-1のほか,HbH症も同定した.また,異常HbのHb Monroe(β30Arg→Thr)を同定した.この地域は異常ヘモグロビン症が高頻度に見られることを示した.
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