研究概要 |
本研究の目的は,地域看護診断の方法論の構築について,(1)これまで得られた概念と枠組みを整理する.(2)具体的な地域の評価方法(assessment)と簡便な教材(tool)の開発を検討する.(3)(1),(2)の結果を適用し,地域の問題や課題を把握する方法の展開と一般化を探索する.という3点である. 平成12年度は,具体的な地域の評価方法(assessment)と簡便な教材(tool)の開発を検討した.先行研究における概念と枠組みにっいて,地域の看護職と検討し,課題となる項目を整理した.これらの項目は,Community as Partner Modelの枠組みに従って,地域の基盤(歴史,人口動態,住民の様子,価値観・信条)と,地域を構成する8要素(自然環境・保健と社会サービス・経済・交通と安全・行政と政策・コミュニケーション・教育・レクリエーション)に分類した.また,地域アセスメントに関する様々な取り組みを実施しているコロラド大学(米国)の教材の中で,エスノグラフィーなどの方法論を用いた地域アセスメントの方法について意訳し,日本版の地域看護診断の教材として改変,作成した. 平成13年度は,作成した地区視診のガイドラインを教育に適用した.その結果,地区視診のガイドライン項目の中で,「人びとの健康状況」「汝治に関係するもの」「メディアと出版物」が,観察と記録が難しい項目であった.また,個人の地区視診の結果をグループで討議することにより,特定の問題や課題を抽出することが可能となった.今後は,これらの教育方法の工夫や,具体的な指導内容を検討する必要がある.また,地域アセスメントの教育について,インターネットやCD-ROMのオリジナル教材を開発し,先駆的な試みを実施しているマクマスター大学(カナダ)での教育方法についても整理し,今後の地域看護学の教育方法への適用について考察した.
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