本研究は、在宅における夜間介護が家族の心身に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、平成12年から4年間の計画で行っている。今年度から、介護者を対象とし、携帯用血圧モニタシステム(スペースラブメディカル社製90217)を用いて24時間の血圧日内変動とCFSI-H(主婦用蓄積的疲労微候インデックス)による疲労感を調査している。さらに、24時間の活動量と睡眠・覚醒の判定のためアクティグラフ(米国A.M.I社製)を用いて調査している。検査成績は、血圧はABPレポートマネージメントシステムを用いて解析し、睡眠・覚醒はACT2000を用いてZero Crossingモードにより判定し、EXCELおよびSPSSにて統計処理を行っている。現在までに28名(男7名、女21名)のデータ収集と分析が終了しており、今後も引き続き調査対象者を増やして調査を行っていく予定である。 28名の結果をまとめると、17名(夜間介護有り群; 66.2±8.4歳、睡眠6.5±1.2時間)が夜間の睡眠を中断して介護しており、11名(無し群; 62.6±13.0歳、睡眠6.9±1.1時間)が夜間は介護していなかった。収縮期血圧がnon-dipper者(夜間血圧の低下が日中に比べ10%未満)の割合は、有り群は41%、無し群は18%だった。拡張期血圧では有り群は24%、無し群は1%であり、収縮期と拡張期ともに有り群の割合が多かった。また、高血圧治療が必要であると判断されたのは、有り群では既に降圧剤内服者6名に加え、あらたに5名が確認され、計11名(65%)だった。無し群では降圧剤内服者3名に加え、あらたに3名が確認され、計6名(55%)だった。疲労感は、男女の基本値と比較して高かった人の割合は、有り群では身体面65%、精神面47%、社会面29%だった。無し群では身体面55%、精神面45%、社会面36%であり、有り群の方が身体面の疲労感が高い人の割合が多かった。以上より、調査の途中結果であるが、夜間介護のため睡眠を中断することの血圧動態および身体面の疲労感への影響が推測された。
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