研究概要 |
目的 在宅における夜間介護が家族の血圧動態と疲労感に及ぼす影響を明らかにする。 方法 睡眠中断時の血圧動態の基礎研究を行った上で、了解を得た家族介護者80名の血圧と疲労感を分析した。方法は、24時間血圧日内変動測定(携帯用血圧モニタシステム:米国SpaceLabs社製ABP90217)、24時間活動量測定(Actigraph:米国A.M.I社製MicroMini型)より睡眠・覚醒判定、主婦用蓄積的疲労徴候インデックス調査、自記式行動調査、面接調査を行った。分析は、降圧剤内服の有無別に性と年齢を考慮して夜間介護者(夜間群)と日中介護者(日中群)間の血圧と疲労感を比較した。さらに睡眠状況と血圧の関係を分析した。 結果 1.非内服者の2群の比較:夜間群29名(女22名、62.0±10.0歳、就床7.4±1.2時間,覚醒2.2±1.5回、夜間実睡眠6.1±1.2時間、熟睡感無し55.2%)、日中群27名(女25名、63.3±11.1歳、就床6.5±1.6時間、覚醒0.6±0.7回、夜間実睡眠5.9±1.4時間、熟睡感無し18.5%)であり、夜間の就床時間、覚醒回教、熟睡感に差がみられた。収縮血圧の夜間降下値は、夜間群21.4±、12.9mmHg、日中群22.0±10.5mmHg、拡張血圧は夜間群14.9±8.1mmHg、日中群16.5±7.9mmHgであり、差はみられなかった。高血圧要治療者として夜間群8名と日中群9名を確認した。 2.非内服女性の2群の比較:血圧に違いはみられなかった。 3.内服者24名の2群の比較:血圧に違いはみられなかった。 4.女性の疲労感の2群の比較:夜間群の方が訴え率は低かった。 5.睡眠状況と血圧:夜間の実睡眠時間と覚醒回数に血圧との関係がみられた。 結論 夜間介護による血圧と疲労感への影響は明らかにならなかったが、睡眠状況による影響が示唆された。
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