研究概要 |
本年度は,昨年度からの継続調査として,国立国会図書館所蔵のGHQ/SCAP Recordsから公衆衛生福祉局(PHW),民間情報教育局(CIE),民間史料局(CHS)及び経済科学局(ESS)のSheetsから,看護改革に関連する英文書を検索・収集し,分析を行った。昨年度,翻訳したNursing Education Council(看護教育審議会)の第一回から第六回分(1946.3〜1946.6)の会議録議事録を統合して,看護教育改革の経緯を明らかにした。さらには,Council on Medical Education(医学教育審議会)の翻訳も進め,両方の会議のあり方,審議内容,その経緯など,関連性を追究してきた。これら会議での決定方針を具現化した,看護のモデルスクールであるTokyo Demonstration School of Nursingにおける設立時の教育内容(カリキュラムを含む)を見出し,占領初期の看護教育改革の実施過程を明らかにした。また占領当時GHQ/SCAPに関与した看護職と,他分野ではあるが占領期研究者にインタビューを行い,多くの示唆を得た。 これらの活動を通して,本年度は主に看護教育改革の構想内容及び経緯について,医学・看護系学会の学術集会で発表してきた。従来の日本側の看護改革研究にGHQ/SCAP文書からの視点を加えて,新たに幾つかの提言をしてきた。特に,看護教育の改革構想に影響を与えた参加者名及び発言内容を明らかにしたことで,GHQ/SCAP, PHWが遂行した看護改革の意図,目標及び目的,経緯が明らかになった。
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