研究課題/領域番号 |
12672272
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
豊田 久美子 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (30252505)
|
研究分担者 |
降田 真理子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80314144)
澤井 信江 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30303788)
|
キーワード | 足浴ケア / 手術 / 排尿困難 / 経尿道留置カテーテル / 自律神経 / 自然排尿 |
研究概要 |
足浴ケアが術後排尿困難の改善に与える効果について検証し、以下の知見を得た。 1.健康な成人11名に改良型密封式足浴法を20分間行い、以下の結果を得た。 (1)足浴前後の尿量および尿増加量は、足浴後40分で有意に増加した。5名は実験の90分間に319から580mlの顕著な尿量が見られ、指尖部温の変化率と尿増加量の間に正の相関が見られた。 (2)自律神経系の変動は、尿量が穏やかに増加した6名のHF(副交感神経)の変化率と尿増加量と間に正の相関が見られた。 以上より、足浴は心地よさからリラクゼーションを高めるとともに末梢循環の改善を促し、尿量を増加させる効果が示唆された。 2.全身麻酔で手術を受け、経尿道留置カテーテルの挿入を経験した人32名に面接を行い、初回排尿までの行動過程とその認識について明らかにした。 (1)行動過程は、「"今"を過去の経験に照らし合わせる」「過去の困った経験を今回避けようとする」「"今、ここ"で過去の経験を生かす」「見聞きしたネガティブなことが自分に起こるのではないかと恐れる」「"今"の体験をその時々で確認する」「未経験なことに対して"おまかせ"する」という6つが見い出された。 (2)それぞれの認識は、「挿入経験がある、無し」と「肯定的、否定的、見聞きしたことによる曖昧さ、肯定的でも否定的でもない」によって形成されていた。 (3)初回排尿までに経験されていた排尿困難には、「意思決定」「場の選択」「衣服」「姿勢」「尿意の変化」「排尿の遅延」「尿流出の減弱」「不十分な爽快感」があった。 3.術後に排尿困難な状態にある人3名に足浴ケアを行い、以下の効果を得た。 (1)15分間の足浴のあと、1例に134mlの尿量の増加を得た。(2)足浴の温熱刺激による「心地よさ」と水中での「自由な操作性」を知覚することで、副交感神経を優位にするとともに、(3)回復過程にあることを実感させ、主体的に「これから」を創り出す契機となることが示唆された。
|