研究概要 |
脳血管障害者や重度心身障害児(者)を対象に,継続して口腔ケアを実施することが嚥下性肺炎の予防や改善にどの程度効果的であるかを検索しながら,嚥下性肺炎の予防や改善に有効な口腔ケアの方法を開発することが本研究の目的である。本年度は以下の研究をおこなった。 1.口腔ケアの質に影響する要因について 看護婦の口腔ケアに関する知識の実態を知るために,H病院に勤務する看護婦116名を対象に,5件法による調査を実施した。その結果,看護婦の口腔ケアに関する知識は不確しかで,ブラッシング指導を受けた経験や育児経験は,看護婦の臨床経験年数は口腔ケアの知識に及ぼす影響は少なかった。看護婦に基本的な口腔ケアの知識についての指導の必要性が示唆された。 2.口腔内細菌数と自覚感による口腔ケアの至適時間の検討 一日のどの時間帯に口腔ケアを実施するのが最も効果的であるかについて健常者18名を対象に口腔内細菌数と対象者の自覚感により検討した。 1.レンサ球菌数は,各測定時間値も,三群間に有意差がみられはなかった。2.ブドウ球菌は,3回とも検出されたのは4名であり,起床時には7名で多数検出された。3.自覚感では,清掃前では夜群がもっとも悪かったが,他群との間に有意差はみられなかった。 口腔清掃を一日1回のみ行う場合には,確実に実行できる時間帯を決め,歯垢を十分除去できるだけの時間をかけて行えば,実施時間帯による効果の差はないことが示唆された。
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