研究課題/領域番号 |
12672276
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
野本 ひさ 愛媛大学, 医学部, 助教授 (50259652)
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研究分担者 |
乗松 貞子 愛媛大学, 医学部, 助教授 (80208404)
陶山 啓子 愛媛大学, 医学部, 助教授 (50214713)
河野 保子 愛媛大学, 医学部, 教授 (80020030)
清水 みどり 愛媛大学, 医学部, 助手 (50294806)
中島 紀子 愛媛大学, 医学部, 助手 (20325377)
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キーワード | 介護 / 価値 / 国際比較 / 家族 / 介護負担 / 対処行動 / 生活満足感 |
研究概要 |
日本、中国、米国における家族介護の実態の解明と介護の価値を介護の肯定的側面から検討することを目的に調査研究を行った。調査対象者は、日本、中国、米国に在住し、在宅で介護を受けている高齢者とその家族介護者215組である。調査は、介護実態(介護者の属性、高齢者の属性、介護状況、介護者の健康状況など)と心理・社会的状態(家族機能、介護肯定感、介護対処行動、生活満足感)について、倫理的な配慮を踏まえながら質問紙を用いて行った。 調査の結果、家族介護者の性別は、日本、中国、米国ともに女性が中心であるが、中国では男性介護者の存在も他国より多かった。家族人数も中国が他国より多く、中国では他国よりも良好な家族状況が認められた。介護を受ける高齢者の年齢は米国が最も高く、介護者年齢も高齢であった。高齢者の身体状況は日本が最も悪く、介護期間も長期であり、介護者の健康状況も3国中最も悪かった。介護者の対処行動は、中国と米国が問題解決的対処を中心に行っており、日本は、接近・認知的対処と問題解決的対処を行っていた。介護者の生活満足感は各国の介護者ともに介護の経験後概ね低下するが、介護前後で生活満足感が低下しない者も存在した。介護経験による生活満足感の変化に影響を与える要因は、日本の介護者では自分の時間の有無、中国の介護者では自分の時間の有無と介護肯定感であった。 これらの結果より、中国では介護が社会化する以前の状態であり、家族機能を有効に活用した介護が行われていることが判明し、日本、米国では重介護化の問題性が明らかになった。また日本では、介護上の諸困難に取り組む態度として、合理的な問題解決的対処のほかに、思う・考えるといった認知的な対処で介護を乗り越えていこうとする特徴が明らかになり、介護のプロセスの中で生じるささやかな喜びや慈しみの中で得た力を、介護に活用していることが判明した。このような介護上から得る利得が、介護者の生活満足感を上昇させていることも明らかになっており、介護者のQOLを向上させるための示唆を得た。 ※なお、研究計画の段階で欧米の調査地をカナダに設定していたが、国際情勢その他諸般の事情により米国に変更した。
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