研究概要 |
男性肺気腫患者78名ついて身体計測,身体組成,生化学的検査などの指標を用いて栄養評価を行い,呼吸機能およびADLの関連を検討した.%標準体重,BMI,除脂肪量とFEV_<1.0>およびFEV_<1.0%>との間に有意な相関が認められた.血清蛋白では総蛋白,アルブミンは肺機能と相関せず,プレアルブミン,レチノール蛋白結合とFEV_<1.0>およびFEV_<1.0%>の間には有意な相関が認められた.やせ群と非やせ群を比較するとVC, %VC, FEV_<1.0>, FEV_<1.0%>は有意に低かった.%標準体重,BMI,除脂肪量はADLとも有意な相関を示し,ADL得点はやせ群が有意に低かった.食事調査を行った36名では,同世代男性の摂取量と比較し,糖質は73.4%,蛋白質61.0%,脂質61.4%、総摂取カロリー65.1%とかなり不足していた.さらに,肺気腫患者16例において呼吸筋力,下肢筋力,栄養状態の関連を検討した.肺気腫患者は呼吸筋力が低下し,呼気口腔内圧積分値平均呼気口腔内圧と体重除脂肪量,除脂肪量/標準体重の間に有意の相関が認められた.やせ群は非やせ群より呼気筋力,吸気筋力とも低下しており,呼気筋力で有意差が認められた.下肢筋力低下群は非低下群より呼気筋力,吸気筋力とも低下しており,吸気筋力で有意差が認められた. 本研究の結果から,肺気腫患者に対する栄養療法と下肢筋力トレーニングは肺機能と呼吸筋力を改善し,ADLの向上に有効である可能性が示唆された.
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