本年度は以下の研究結果を得た。 1)「たのしみ経験」の概念分析-現在継続中 2)「たのしみ経験」概念の健康・QOLに基づくモデル作成-現在継続中 3)「たのしみ経験」内容の時代の影響 時代が「たのしみ経験」与える影響をみるために、出生年と子ども時代の出来事の特徴から、I:1925年以前-大正、II:1926-1939-昭和のはじめ、III:1940年代-戦争、IV:1950年代-復興、V:1960年代-テレビ、VI:1970年代-高度成長、VII:1980年代-ゲーム、の7世代のグループにわけ、「たのしみ経験」内容と質を分析し検討した。今年度は家族との「たのしみ経験」「費用を要するたのしみ経験」焦点をあて分析検討した。 4)「たのしみ経験」の意味の検討 生涯発達的視点から「たのしみ経験」を分析するために、60歳以上の高齢者事例を対象とし、特に幼児期の「たのしみ経験」とその後の人生を通しての「たのしみ経験」との関連を検討し、人生におけるたのしみ経験の意味を考察した。高齢者が想起する幼児期の「たのしみ経験」内容は連続して60歳代までもつ者が存在すること、「たのしみ経験」は人生に有意味な変化をもたらすライフイベントと関連することが明らかになった。 5)「たのしみ経験」の要素の解明 中年期男女42名を対象とし、「たのしみ経験」の要素について聞き取り調査を行なった。その結果たのしみ経験要素はI:からだ(身体)性、II:思考・知的活動、III:心情、IV:関係性、コミュニケーション、V:生活、VI:経験、VII:子育て、VIII:自己実現(社会参加、仕事)の7カテゴリーに分けられた。この要素の割合は人の発達の時期により異なっており、発達的にみて特徴があった。同時にこの分類は健康に生きることに関連し、生涯を通して用いるうえで有効であることがわかった。今後さらに修正と分析を続ける予定である。
|