1.前年度までの研究で幼児期、中年期を対象として「たのしみ経験」の構成要素については検討を重ねてきたが、これらを高齢者の「たのしみ経験」について改めて検討し、各時代、世代を通しての「たのしみ経験」の構成要素を明らかにした。さらに「たのしみ経験」は個人のもつ特性と状況との相互作用の連鎖の過程として構造化されると推察された。さらにこの成長発達段階による状況要素の異なりを発達的視点からとらえ、「個人」「状況」「世代」をコアとしてこれらの構成要素の構造化を試みた。 2.高齢者の「たのしみ経験」について、7人の高齢者にインタビューを行い、その内容をライフレビュー方を用いて検討した。高齢者の「たのしみ経験」はその人の人生の生き方と深く関連していた。また各時期別に「たのしみ経験」は異なるものの、生涯を通して共通する要素があり、人生において一貫した「たのしみ経験」とそれを構成する要素があることを明らかにした。「たのしみ経験」を生涯を通してつなぐものは、人との関係性との量と質が関与することが示唆された。 3.以上の結果から人の「たのしみ経験」はその健康とQOLに深く関連する一指標として有効であることを実証した。 4.これらの成果は国内学会で3回発表した。
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