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2002 年度 実績報告書

生理的反応からみた効果的な疼痛緩和方法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 12672286
研究機関長野県看護大学

研究代表者

佐伯 由香  長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70211927)

キーワードpricking pain / 自律神経反応 / VAS / 芳香療法 / 音楽療法 / 体性感覚誘発電位
研究概要

皮膚スキンコンダクタンス(SCL)および皮膚血流量(BF)を測定し、電気刺激によって実験的に起こした刺痛pricking painに対する自律神経反応、ならびに主観的痛み感覚尺度Visual Analogue Scale(VAS)を指標に、疼痛緩和方法を検討してきた。その結果、冷罨法coolingはいずれの指標に対しても疼痛緩和に効果的であるのに対し、温罨法warmingいずれも増強させることを明らかにした。今年度は、昨年度行っていた芳香療法(fragrance)と音楽療法(music)の緩和効果の追加実験を行った。さらにpricking painに対するcooling効果のメカニズムを調べるため、体性感覚誘発電位(SEM)を記録し、電気生理学的に検討した。
芳香療法と音楽療法に関しては聴覚・嗅覚に特に支障がなく、了解の得られた25名の健康な女子学生を対象とした。その結果、前腕部刺激ではSCL反応はcontrol時(100%)と比較してcooling群は51.7±6.26、music群は56.5±9.31%、fragrance群は68.2±9.52%と有意に減少したのに対し、warming群は142.1±11.32%と有意な増加を示した。BF反応はcontrol群と比較して有意な変化はみられなかった。上腕部刺激についてはcooling群では有意な減少がみられた。music群ならびにfragrance群は減少する傾向が見られたが、有意な変化ではなかった。BF反応はcoolingで有意な減少、warming群で有意な増加が見られた。以上の結果より、pricking painのような痛みにはcoolingが客観的・主観的評価、いずれにおいても最も有効であることが明らかとなった。音楽療法や芳香療法は多少は緩和効果があるものの、pricking painというよりはある程度持続するあるいは慢性的な痛みに対して有効である可能性が示唆された。
9名の女性を対象に体性感覚誘発電位を記録し正中神経刺激時の痛みに対するcoolingならびにwarmingの疼痛緩和効果を調べた。その結果、warmingで電位が抑制された者2名、coolingで抑制された者3名、両方で抑制された者1名、逆に両方で増強されたもの3名と結果にばらつきがあった。このような結果になった要因として、これまで行ってきたpricking painと刺激部位ならびに刺激方法が異なっていることから、pricking painの疼痛緩和を反映していない可能性があげられる。今後は刺激条件をこれまで行ってきた方法で行う必要があると考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Y.SAEKI: "Effect of local application of cold or heat for relief of pricking pain"Nursing and Health Sciences. 4. 97-105 (2002)

  • [文献書誌] 佐伯由香: "病床における臭い環境のエビデンス"臨床看護. 28・13. 1933-1941 (2002)

  • [文献書誌] 佐伯由香, 永井伸夫: "学会におけるインターネットの利用"臨床看護. 28・9. 1345-1353 (2002)

  • [文献書誌] 塩原真弓, 佐伯由香, 井上都之: "経管栄養施行例における経鼻胃管、接続管の細菌学的調査"日本看護研究学会雑誌. 25・2. 37-47 (2002)

  • [文献書誌] 佐伯 由香: "トートラ人体解剖生理学"佐伯由香、黒沢美枝子、細谷安彦 編訳、丸善株式会社. 626 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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