研究課題/領域番号 |
12672287
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研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
小西 恵美子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70011054)
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研究分担者 |
大久保 いく子 長野県看護大学, 看護学部, 助手 (20301418)
太田 勝正 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (60194156)
見藤 隆子 長野県看護大学, 看護学部, 学長 (00086266)
真弓 尚也 長野県看護大学, 看護学部, 助手 (10315848)
八尋 道子 長野県看護大学, 看護学部, 助手 (10326100)
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キーワード | 情報開示 / 告知 / 末期患者 / 末期ケアの倫理 / 患者・家族の関係性の倫理 |
研究概要 |
ターミナルケアの倫理問題に関するこれまでの基盤研究から浮かび上がったテーマとして、情報開示(いわゆる告知)の4つの枠組みを提案し、それを検証することを目的に研究を行った。枠組みは、患者が病気を知り医療に参加する程度、情報開示に家族が関与する程度、および日本の伝統的価値観に注目し、次の4つを提案した。A:患者には知らせず、情報を知り、意思決定する役割は家族が負う。患者が病気のことはこの知りたくないと言い、あるいは家族がすでに患者のその気持ちを知っていて、かつ、患者との間によい関係性をもっている場合のみ、この枠組みは倫理的である。B:家族がまず情報を知らされ、患者はその後で知らされる。この枠組みが倫理的なのは、治療で得る利益は何もないことを家族が同意した時である。C:患者と家族の双方に知らせる。D:情報を患者だけに開示する。今の日本では、この枠組みは家族のいない患者にほほ限定され、数は比較的少ないであろう。 以上の枠組みを、(1)患者をなくした家族へのインタビュー、(2)がん患者の遺族のアンケート調査の文献、および(3)積極的に患者に告知している医師へのインタビューによって検証した。結果、どの場合も、枠組みD(患者だけに告知)は行われていなかった。これは、家族との関係性を重視した告知が今の日本の文化に適合していることを示しているといえる。ただし、患者には知らせない、又は遅れて知らせるという告知の中には、我々の提案する倫理的な枠組みとは異なるものがあり、そのような告知は患者や家族によい結果をもたらしていない。患者・家族双方にとってもっともよい告知は、家族同席で患者に知らせるCの枠組みであった。最初、患者・家族ともいきなり知らされたと捉えるが、家族と患者との関係性はよく、患者はその後の治療に進んで対処し、死の迎え方を自ら決め納得して死を迎えていた。また、積極的に患者に告知している医師も、患者が超高齢の場合を除き、この枠組みを使っていた。
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