研究概要 |
2交替制ナース・スケジューリング問題に対して,我々が1998年に提案したアルゴリズムの改善を試みた.1998年に提案したアルゴリズムは,看護婦の1ヵ月分の実行可能勤務パターンから最適なパターンを選び出すという部分問題を看護婦毎に設定し,これらを繰り返し解くことにより全体として実行可能な勤務表を作成していくものである.しかし部分問題を解くアルゴリズム自体は考えられておらず,実際には実行可能勤務パターンをすべて列挙し,その都度全勤務パターンの評価計算をして比較するというものであった.よって,効率よく実行可能解を見つけ出すと言われるものの実行可能解を与えるまでの時間に問題を抱えていた. そこで,部分問題を効率よく解くヒューリスティック解法を構築するために,提案されているアルゴリズムの振るまいを観察し,解の改善過程において採用される勤務パターンの特徴を明らかにした. 観察の対象をアルゴリズム前半の夜勤スケジューリングとし,異なる勤務パターン同士の差を「一方のパターンで夜勤であるがもう一方ではそうではない日の数」と定義して,新しく採用されるパターンとこれまで採用されていたものとの差を調べたところ,それらの差が非常に小さいことがわかった.パターン間の差が最大10である問題において,交換されるパターン間の差は高々3であった.因みに,1つの勤務パターンに対し差が3以下の実行可能勤務パターンは,全体の2〜3%にあたる. そこで,比較計算する実行勤務パターンを有効な範囲,つまり現在採用されているパターンとの差が小さいものに絞り込むことによりスピードアップを図った.改善されたアルゴリズムは提案されているアルゴリズムと同じ実行可能解を,数倍から数10倍の速さで与えることができた.
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