研究概要 |
昨年度に引き続き「2交替3交替を区別することなく扱えるアルゴリズム」構築の可能性を探るために,提案してきたアプローチを「部分問題を意識したアプローチ(Subproblem-centric Approach)」とよぶことにし,このアプローチに基づく実験用アルゴリズムを作成して基礎的実験をおこなった.そして,それらの結果を整理して国際会議で成果発表を行ない,論文にもその成果をまとめた. 基礎的実験では,これまでに提案してきた問題分割に基づくSubproblem-centric Approachが,2交替の問題だけでなく3交替の問題にも適用できる可能性があることを,実際の勤務表を作成することにより示すことができた.実験用のアルゴリズムは部分問題を分枝限定法で解いていることから,時間的な問題を抱えているものの,実際の勤務表として利用できる解,またはそのたたき台として利用できる解を与えることができると考える.また,我々が構築した,ナース・スケジューリングのモデルが海外の問題にも適用できるかを調べるために,ヘルスサービスにおけるオペレーションズ・リサーチ研究者が集まる国際会議に出席し議論を重ねたり,実際に現地の病院や大学や会社を訪問して現地研究者と議論することにより情報交換をおこなった.その結果,海外にも我々の問題と同様な構造をもつナース・スケジューリング問題が存在することが明らかになった.前述の基礎的実験では,我々のアルゴリズムが,これまでに海外で解かれた間題を効率よく解くことができ,よりよい勤務表を与えるということも明らかになった. 現場で実際に利用できる支援システムの構築のためには,部分問題を効率よく解けるアルゴリズムの開発と,数多い拘束条件を効率よく入力できるインタフェースの開発が,直ちに必要になってきた.我々が開発した勤務表編集のためのインタフェース(プロトタイプ)について評価した論文も本年発表された.
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