研究課題/領域番号 |
12672300
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
池川 清子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (00116774)
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研究分担者 |
吾妻 知美 日本赤十字看護大学, 看護学部, 助手 (90295387)
西村 ユミ 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (00257271)
守田 美奈子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 助教授 (50288065)
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キーワード | 看護実践 / 実践知 / 現像学 |
研究概要 |
助成開始(平成12年11月)以来、本研究の大前提である「実践学」に対する問題の所在を明らかにするために、さまざまな角度から文献検討を実施した。その結果、実践学としての看護学は、とりもなおさず看護実践の場における、看護者と患者とのかかわりの中から立ち現れてくる実践知を深く探究する学問であることが再確認された。言い換えると、実践学としての看護学の性格付けは、具体的な看護経験を既存の科学的枠組みによってではなく、看護者の経験という現象に立ち帰って、問い直していく作業が不可欠であることの認識に立ったということである。 このような看護者と患者との関係性を基盤とする学問は、その性格上、患者を客体として、看護者が一方的に観る側に立って、分析したり、客観視する方法は成立しない。これまでの患者への接近法や看護の研究方法、つまり患者をさまざまな状況から切り離して対象化(物化)しようとする方法は、徹底して問い直さなければならない。 そういった問い直しの手がかりを本研究チームはさまざまな思想に求めてきた。中でも、看護実践という看護者と患者との対人的構造を明らかにするてがかりとして有用であったのは、現象学的パースペクティブである。ともすれば看護者自身が患者の存在そのものまで医学的対象としてしか観ることができなくなっている近代医療の場にあって、現象学が目指す患者を一人の人間として、その生きられる次元で捉え直そうとする試みは、われわれ看護者のあり方への問いを含むものとして、これからも一貫して探究していかなけれぼならないと考えている。 次年度の課題としては、これまでの国内での研究活動に加えて、海外の研究者との交流を持ちたいと考えている。本研究に類似する分野の研究者として最も注目しているのは、英国Luton大学教授John Paleyであり、目下交渉中である。その他フランスにおけるメルロ=ポンティ研究に関する資料収集を予定している。
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