段階的ベッドアップ時の心拍数、血圧と自律神経系への影響について検討した。自律神経活動評価としては心拍変動のスペクトル解析を行った。コントロール群としてまず13人の若年者(年齢21.46±4.18歳)を対象として実験を行ったところ、ベッドアップが0°から30°、60°と変化に伴い心拍数は変化せず、血圧はやや低下した。交感神経指標とされるLF/HFはベッドアップの上昇、血圧の低下にともない増加する傾向がみられ、副交感神経指標とされるHF/TOは減少する傾向がみられた。これらの結果は、tilt-tableを使用した起立負荷実験と同様の結果となり、心拍変動のスペクトル解析がベッドアップの角度負荷による自律神経活動を評価できることが明らかとなった。上記と同じ実験を18人の高齢者(年齢70.78±4.69歳)を対象に行った。その結果、心拍数はベッドの上昇とともにやや減少した。血圧においても心拍数と同様に低下した。若年者群では血圧低下にともない交感神経活動が活発となり副交感神経活動が抑制され、自律神経が血圧調整に関与していることが明確となったが、高齢者群では血圧低下にも関わらずLF/HF、HF/TOの若年者群のような変化はみられなかった。 カフェイン飲料を摂取し同様の実験を行ったところ、若年者群では血圧はほぼ一定に保たれた。自律神経活動も最大角度の60°でLF/HFが上昇し、HF/TOが減少する傾向が高齢者群ではベッドアップ60°で0°時に比べ有意な血圧低下がみられた(P<0.05)。 みられているにも関わらずLF/HF、HF/TOの変化はみられなかった。
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