研究概要 |
われわれは、地域の健康問題を把握する方法として、平成10年に京都府内の都市部と農村部の20歳以上の地域住民1,400人を対象に、身体的、精神的、社会的健康度測定と生活構造との関連調査を行った。 本研究では、この調査への協力者を対象に前回と同じ指標で2年後の健康度を把握するとともに半構成的質問項目による面接調査を行い、従来の統計的既存資料と、前回の自記式質問紙票による量的調査と、今回の面接による質的調査から得た情報とを総合的に分析し、地域診断の方法を検討した。 面接の了解を得られた者は、対象者381名中71名(回収率18.6%)であった。 調査期間は、平成12年12月から平成13年4月である。 その結果、既存資料の分析、質問紙調査、面接調査の3つの方法を比較してそれぞれの有用性と限界について以下のことが示唆された。 (1)既存資料は、地域の概要を把握するには有用であるが、住民の生活と関連づけて把握することは困難である。 (2)質問紙調査は、統計資料など既存資料では把握できない住民の生活態様の概要を把握することができるが住民の意識や関係性といったより詳細な把握は困難である。 (3)面接調査は、既存資料や質問紙調査に現れない住民の思いや関係性を把握することができるが、調査回答者による個別性や偏りが予想される。 したがって、保健師が行う地域診断においては、3者を併用して地域の健康問題を総合的に把握することが必要であるといえる。
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