研究概要 |
在宅虚弱高齢者の社会的孤立感の解消や自立生活の助長をはかることを目的として,テレビ電話を活用し,コーディネーターの介入により在宅虚弱高齢者同士のネットワークを形成する試みを開始した。 出雲市が委託し、JAいずもが展開する「出雲市いきがい対応型ディサービス事業」の参加者を対象とした。この事業の参加者35名中,視覚・聴覚に支障のない人,後期高齢者であり、週1回のディサービスに参加して、社会交流をし、さらにテレビ電話を通して交流を続けることができる者から無作為に14名を選び対象群(テレビ電話使用群)とした。それ以外の参加者から14名を選び,対照群(テレビ電話不使用群)とした。さらにネットワークの形成を促進するコーディネーター(ホームヘルパー3級以上、JAのボランティアであり、意欲的に取り組める人であることを要件とした。)を選定した後,対象者にテレビ電話を設置し評価基準を定めて平成12年9月から介入をした。 6ヶ月間の介入をした段階で,(1)毎月の全員の合計電話使用頻度・時間は順次増加している。(2)通話している対象者は、ディサービスでの顔見知り同士がほとんどである。(3)通話相手が固定化されつつある。(4)男性の場合は、通話時間・回数とも少ない。(5)テレビ電話の特徴として「顔見知りであること」が通話できる重要点であることが認識された。(6)ネットワーク形成において、コーディネーターの適切な助言が重要である。(7)テレビ電話は、対象者の社会的孤立感の解消や自立生活のサポートになっている。 これらの結果から、ネットワークの形成に向けての動きが見られる。ネットワーク形成をさらに促進するために対象者同士が「顔見知りになる会」を企画し、実施した。この企画は対象者に好評であり、今後その効果が期待されるところである。
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