研究概要 |
介護保険制度で自立と認定された在宅虚弱高齢者14名に対して、高齢者の自立支援や社会的孤立感の解消を図る目的で、コーディネータの介入によるテレビ電話利用のネットワーク形成を促す試みをした。対象者は、出雲市が委託し,JAいずもが展開する「出雲市いきがい対応型デイサービス事業」の参加者から14名(年齢:78歳〜85,歳性別:男性5名,女性9名,自宅場所:出雲市東部地区:6名,出雲市西部地区:8名)を選定した。対象者のテレビ電話の利用は2000年9月から開始し,2001年12月末日までとした。 これにより,次の結果が得られた。 1.テレビ電話によるネットワークは,基本的に3つのグループ(毎日利用グループ,週1回テレビ利用グループ,月1回利用グループ)に形成されていった。頻繁に通話する毎日利用グループにおいては,テレビ電話が生活の一部にまで入り込んで,自立生活を支援していた。 2.テレビ電話の活用は,ディサービス事業を支援する方法として役立つことが確認された。 3.ネットワークの形成を促すには、コーディネーターのデイサービス事業と連動させた適切な介入が必要であった。コーディネーターの役割は時間の経過と共に変化していった。 4.ネットワークの形成をさらに進展させるには,「顔見知りになること」が重要であった。 5.テレビ電話の活用は,利用者の社会的孤立感や家庭内での孤立感の解消や自立生活のサポートになった。 全対象者のテレビ電話の利用については,「使用料無料」の形で提供している。今後、自費での利用を考えたとき,その経済的負担については、高齢者の経済状態により可否が分かれる。対象者全員に,研究終了後も自費でテレビ電話を活用したいかと尋ねたとき、2名は肯定的な返事で,12名が否定的な返事であった。今後、生活支援サービスの1つの形態として「テレビ電話ネットワーク」を活用したサービスが考えられる。
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