研究課題/領域番号 |
12672311
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
臨床看護学
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐藤 和佳子 山形大学, 医学部, 教授 (30272074)
|
研究分担者 |
小竹 佐智代 山形大学, 医学部, 助手 (00295388)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2003
|
キーワード | 尿失禁ケア管理システム / 高齢者長期ケア施設 / 日米比較 / 非侵襲的排尿機能評価 / Prompted Voiding(排尿自覚刺激行動療法) / 行動療法の試み |
研究概要 |
本年度の研究目的である排尿自立支援行動療法適用のためのスクリーニング法の開発と有効性の検討について、以下の検討を行った。 【研究目的1】尿失禁ケア管理システムの日米比較について UIケアに直接関わるミネソタ州NHにおけるCertified Nursing Assistant:以下CNAと山形県介護老人保健施設における介護職のアセスメント参画状況、UIケアの実際、UIケアの障壁について比較を行った。その結果、UIの出現頻度については、ミネソタは50%代と70-80%代の高率の施設とに二分されたのに対し、山形の3施設は傾向に一貫性を認めなかった。次に、ケアワーカーのUIケア参画の比較では、NHでは初期アセスメントへの参画はないが、老健では、ケアワーカー全員が参画している明確な違いを示した。しかし、アセスメントのために収集する情報の種類、方法は様々であった。UIケアの実際の比較では、NHのCNAは、皮膚ケアの製品の使用に積極的であったのに対し、老健では、むしろおむつやパッド類の使用に工夫に重点をおく傾向を示した。UIケアの障壁となるものでは、双方とも人員不足を共通して認識していた。 【研究目的2】非侵襲的排尿機能評価法を活用した排尿自立支援行動療法の試みについて 尿失禁を有する介護老人保健施設利用者に対し、Prompted Voiding(排尿自覚刺激行動療法):以下PVを活用し、排尿量日誌にもとづく個別の状況に合わせた排泄ケアを行うことで、尿失禁の改善およびQOLの維持・向上を目指すことを目的とした。対象者10名のうち、拒否による取り組みの中断はなく、1名の対象者は6週目に自宅に退所した。対象者の平均年齢は82.2歳(最少78歳-最長87歳)であった。排尿アセスメント結果より診断された尿失禁の種類では重複が見られ、機能性尿失禁が4名、尿排出障害2名、頻尿2名、切迫性尿失禁1名、失禁なし3名であった。最終評価では、排尿に関する問題が4名「改善」し、4名は「一部改善」、2名は「現状維持」の結果となった。 上記結果は、米国で検証されているPVの理論に基づき、排尿機能・ADL・認知機能について詳細にアセスメントを行い改善可能性を見極めて行うことにより、行動療法の途中脱落がなく尿失禁の改善やQOLを促進できる可能性を示唆した。しかし、PVの継続には、ケアに関わる十分な人員の確保が不可欠で今後の課題となった。
|