研究概要 |
1,研究対象及び方法:妊娠から出産・産褥5日目の継続的な期間の研究協力に合意を得た191名の妊産婦のうち,正常出産であった116名のデータを検討した. 2,方法:1)超音波断層装置による方法:乳房の上方,下方と内・外側方の乳房エコーを行った.測定時期と測定回数は,妊娠23週まで1回,24週から出産までは1回とした。先ず,デジタルカメラで母乳分泌量に関与する乳頭,乳輪の形状を捉え,授乳可能な乳頭をもつ産婦に対して,1)乳腺発育に影響するエストラジオールとプロゲステロンの分泌量,2)生体電気インピーダンス測定装置による非侵襲性電極を用いて,乳房組織の構造的,機能的な変化データを導電率で求めた.しかし,平成13年3月末に,開発したインピーダンス測定装置の作動に問題が発生し,116例については超音波断層装置による方法のみで乳腺発育状態を判断し,母乳栄養に関与する乳房ケアを試みた。 3,結果:妊娠経過中の画像パタンの変化と母乳栄養と乳房ケア:乳腺のエコーパタンは,乳腺組織と皮下脂肪比,乳腺実質と間質比,腺房状態の妊娠経過中の変化を個人内の変動値として検討し,母乳栄養と乳房ケアとの関係から検討した。 妊娠中の脂肪比,乳腺実質と間質比余り変化を認めず,腺房状の構造変化と乳腺組織の厚さから乳腺のエコーパタンを四型に分類した。腺房の変化が妊娠早期に著明なものを一型,さらに後期に変化を認めたものを二型,腺房の変化を認めたが乳腺組織が10mm以下であったものを三型,腺房が不鮮明で乳腺組織が薄いものを四型とした。腺房の発育は初期に認めるものが約70%であり,エストロゲンはその発育に作用していると考える,また,一型,二型は,児の吸畷と乳輪部から乳頭部への牽引が効果的であり,三型タイプは,循環改善のためのマッサージ法が効果的である。妊娠期の乳腺組織の変化は,出産後の母乳栄養の可否の判断が可能である。
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