研究概要 |
平成13年度は,一般の市民を対象に平成13年7月〜8月,および悪性造血器腫瘍患者のケアをする専門看護職者を対象に平成13年11月〜12月まで,文化の影響によって,生死,ケア,PBSCTなどの現代医療科学に対して,どのような反応をし,考え,このようにリスクの高い治療をする重症な患者のQOLの向上めための指針の提案のために,四国,K市の一般市民20代から60代まで1000名中453名のアンケートの回答を収集した。また,悪性造血器腫瘍患者のケアをする専門看護職者,主として四国内の300名にアンケートを郵送し109名からの回答を得た。アンケートの倫理的考慮として,施設あて及び個人あてに依頼書を同封,個人のプライバシー、人権の守られることを記した上で協力を求めた。Hofstede(1980)の文化の尺度の測定の4つの概念,男性度,対人距離度,不確実回避度,個人主義度を使って考察し,次のことが明らかになった。一般市民からのアンケートからは,患者や家族は自分り思うことや考えることが自由に医師や看護職者に話せない者が30%以上もおり,医師との対人距離の度合がかなりあることで患者が服従的になり,自分の治療の決定にはかなり家族の影響があった。生きるためには現代医療技術が残された方法と考えていた。しかし,現代医療技術も生命そのものも疾病も不確実性の高いものであり,不安は消えない。看護職者のアンケートでは精神的ケア,コミュニケーションの重要性が明らかとなり,QOLの向上のためには医師と患者・家族,医師と看護職者,看護職者と患者の対人距離を縮めること,現代医療科学を支持する者は一般市民も看護職者も多く,医療科学技術にともなう不確実性回避度を縮め,看護職者の抱えている倫理的ジレンマを軽減し,ケアリングリパワーを強化することがQOLの向上に関係することが指摘された。
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