研究概要 |
本年度は、平成13年度より継続してデータ収集を行なってきた、長期に抗精神病薬を内服している精神障害者の身体合併症に関する実態調査の分析を行なった。福島県内の単科精神病院12病院の精神科病棟(合併症・内科・痴呆病棟を除く)48病棟を対象に、(1)長期服用患者(抗精神病薬を服用開始後20年以上経過する患者)のうち身体合併症を有する患者(精神科以外の診療科を受診している患者)について、(2)過去1年間に身体疾患を有した長期服用患者のうち、看護師がケアを行なう上で"大変だった"と感じた事例についてデータ収集を行なった。その結果、長期服用患者1,495人のうち身体合併症を有する患者は416人(27.8%)であった。身体合併症の疾患名では、糖尿病が74人で最も多く、平均治療期間も10.0年と最長であった。次いで、白癬32人、高血圧29人、湿疹24人、膝関節症/痛23人という順であった。疾患分類別にみると、皮膚科系の疾患98人、内分泌・代謝系の疾患97人と多く、次いで循環器系の疾患81人、消化器系の疾患76人、筋骨格系の疾患75人という結果であった。また、身体合併症患者のケアを行なう上で看護師が"大変だった"と感じた事例として、83例が報告された。疾患別にみるとイレウス患者の事例14例、皮膚疾患患者の事例10例、糖尿病患者の事例8例、骨折患者の事例7例の順であった。看護師が感じる"大変さ"の内容を分析すると、「予防の困難」「疾病発見の困難」「受診行動の困難」「身体疾患の治療を行なう上での困難」「身体疾患合併による精神状態の悪化」が上げられた。 上記実態調査の結果を踏まえて、現在看護師を対象にインタビューを行っており、身体合併症患者のケアにおけるモニタリング機能について抽出中である。
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