本研究では、精神障害者の再発・再燃を抑制し、地域生活を維持・促進できるような急性期治療病棟におけるケアプロトコールの開発を行うことを目的とする。昨年度の実態調査をもとに、今年度は九州並びに関西にある私立精神病院の2つの急性期治療病棟で勤務する看護師計25名にインタビューを行い、昨年の結果を補強するため、急性期治療病棟退院後3ヶ月以上地域で生活できている精神障害者への看護ケアについて、フォーカスグループを用いたインタビュー調査を行った。インタビュー調査は平成13年10月から平成14年3月までの間に半構成的質問紙を用いて行った。 対象者の平均年齢は41才、平均臨床経験は15年、そのうち急性期治療病棟における平均経験年数は6年だった。急性期治療病棟を退院後3ヶ月以上再入院しなかった患者への看護ケアは、1)患者自身へのケア、2)家族へのケア、3)他職種とのチーム間の信頼、4)地域でのネットワークの確率に分類された。1)の患者自身へのケアは(1)患者との信頼関係、(2)患者のセルフケアへの援助、(3)看護計画を一緒に立てるに分類できた。また2)の家族へのケアは(1)退院前に患者とともに自宅への家庭訪問を行い患者と家族の生活の場を知る、(2)家族の患者への期待を明らかにする、(3)<家族の大変さを共有する>に分類できた。また3)の他職種とのチーム間の信頼では、(1)他職種のチームメンバーと頻回に情報交換をする、(2)治療方針を統一させるに分けられた。さらに4)の地位でのネットワークの確率では、(1)保険師・民生委員との連携、(2)地域での患者の居場所の確保に分類できた。昨年および今年度の結果をもとに現在入院後の時期ごとに急性期ケアプロトコールを作成し、次年度は作成したプロトコールの評価を行う予定である。
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