研究課題
【内的整合性・構成概念妥当性の検討】方法:a.年齢75歳以上、b.緊急入院、c.術後1〜3日目、d.何らかの痛みがある、e.ICUまたはCCUに入室して1〜3日目である、f.治療上、安静臥床が開始され1日以上経過している、g.せん妄判定基準(以下、DRS-N)による測定を依頼した。有効データ数148。〈内的整合性〉各項目のクロンバックα係数は0.88〜0.91、全体では0.91であり、高い信頼性を示した。〈構成概念妥当性〉因子分析の結果、1因子のみが抽出された。【収束的妥当性の検討】上記a〜gのいずれかの条件を満たすものを対象として看護婦にDRS-NおよびNEECHAM混乱・錯乱状態スケール(以下、NEECHAM)の両者を同時に用いて測定を依頼した。有効データ数41。その結果、DRS-Nの合計得点とNEECHAMの合計得点の積率相関係数は-0.861(p<0.001)であり、高い負の相関を示した。さらにNEECHAMの合計点とDRS-Nの合計点を比較したところ、DRS-N合計12〜24点の者は、NEECHAM合計6〜26点の間に分布していた。このことは、DRS-Nで「せん妄である」と判定されたものがNEECHAMでは「『混乱していない』が混乱の危険性が高い」というランクに位置づけられる可能性を示しているため、点数比較については今後さらに検討が必要と思われる。【看護者の判断とDRS-N得点の関連】看護者がDRS-Nで測定する以前にせん妄あるいは不穏状態の疑いありと判断した対象は59名、疑いなしと判断した対象は89名であり、DRS-N合計点の平均は疑いありの場合14.7点、疑いなしの場合3.72点であり、T検定では有意確立1%未満で有意差が認められた。