本研究は看護・介護職員による施設入所高齢者への言語的コミュニケーションの種類と量を把握しそれに関連する要因を高齢者の特性及び施設の看護・介護環境条件から検討することを目的とする。 調査対象は65歳以上の老人保健施設、特別養護老人ホーム、老人病院6施設に入所中の高齢者から、意志表示能力別(表示できる、やや表示できる、表示できない)、ADL能力別(寝たきり、車いす・歩行介助、自立歩行)に45人を選択した。 調査方法は言語的コミュニケーションの種類と量に関して、特別養護老人ホーム2施設の入所者に対し、Am9時からPm7時まで個人または居室への張り付きで、観察記録をとった。また施設間の比較をするために、看護・介護職員1人あたりの食事介助時と定時のおむつ交換時(1時間)の言語的コミュニケーションの種類を観察し、量(時間)を測定した。 分析はコミュニケーションの種類に関しては内容分析を行った。結果は分析途中であるが、食事介助時のコミュニケーションの種類としては、高齢者への意識の喚起や保持、食事内容や進行状況の知らせ、本人の意志の代弁と確認、動作の提示などのサブカテゴリーからなる食事を円滑に運ぶための声かけ、食事摂取意欲を高める雰囲気づくりの声かけ、介護者と高齢者の情緒的交流を図る声かけなどがコア変数として抽出された。
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