研究課題/領域番号 |
12672345
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
深谷 安子 東海大学, 健康科学部, 教授 (20238447)
|
研究分担者 |
七田 恵子 東海大学, 健康科学部, 教授 (80072990)
鈴木 和子 東海大学, 健康科学部, 教授 (10297228)
|
キーワード | 声かけ / コミュニケーション / 要介護高齢者 / 老人保健施設 |
研究概要 |
平成12年度にスタートした本研究は、老人保健施設に入所している要介護高齢者と看護・介護職員等の援助者の言語的コミュニケーションの実態を把握するために援助者が行っている声かけと、それに対する要介護高齢者の発語の種類と量を明らかにし、援助者の声かけ度と発語に関連する要因を高齢者自身の属性から明らかにすることを目的とした。研究方法は、初年度に老人保健施設(3施設)に入所中の71才〜99才の35名の要介護高齢者と看護・介護・作業療法士等との1日の会話記録の逐語録を作成し、会話内容をカテゴリー化し、援助者の声かけと高齢者の発語の種類、頻度、総時間を求めた。今年度には、さらにこれらの結果と高齢者の属性との関連性を統計的に分析した。 それらから、次のような結果が得られた。 1.援助者の声かけの種類は、「日常生活遂行の声かけ」と「生活活性化の声かけ」に分類され、それらの頻度の割合は、75.9%と24.1%であり、前者が3/4を占めていた。 2.要介護高齢者の発語では、自発的なものは非常に少なく、殆どが援助者の声かけに対する発語であり、しかも短い返事が多かった。しかし、高齢者の発語と援助者の声かけの頻度の相関では、「生活活性化の声かけへの発語」が、「日常生活遂行の声かけへの発語」より高く、前者がより高齢者の発語を引き出していることが明らかになった。 3.援助者の声かけの総時間と高齢者の属性との関連性では、高齢者に痴呆がある場合と、ADLが寝たきりの場合に介助歩行や車イス利用者に比べて援助者の声かけの総時間が有意に多く、これらの属性の高齢者には、援助者は、声かけを意識的に行っていると考えられた。 4.高齢者の発語の種類別頻度と高齢者の属性との関連では、言語障害がある高齢者の発語は、いずれも有意に低いのは当然であるが、ADLでは、日常生活遂行の声かけへの発語において、痴呆有りの場合は無しに比べて、また寝たきりの場合が車イス利用者に比べて有意に高かった。
|