1.第2次調査の実施 第1次調査に引き続き、社会的に高い評価を得ている開業助産婦5名を新たに選択し、研究参加を依頼して研究協力の承諾を得た。対象の助産婦が運営する助産院において、第1次調査と同様に、参加観察、活動内容の振り返り面接、スタッフや施設利用者へのインタビューによりデータ収集を行った。 2.第1次調査と第2次調査の統合と分析 第1次調査では、開業助産婦の卓越した「技」は、「助産婦の技術的能力」「助産婦のケアに対する人間的な姿勢」「組織や環境における助産婦の位置」が整ったときに発揮されることが明らかになり、これを開業助産婦の卓越した技の仮の「構造」とした(今後も更なる検討を要す)。 分析はいまだ途中の段階であるが、「機能」は、「主語(助産婦は・が)」に続き「名詞+動詞」で表されるものと定義し、データの中から「機能」を抜き出す作業を行った。 その結果、「助産婦の技術的能力」には「会陰裂傷を生じさせない・骨盤位を修正する・乳房を整える・声を聞き分ける・表情を見分ける・見通しを立てて即座に判断する・相手の関心を引き出す・相手の関心を持続させる」などの機能があること、「助産婦のケアに対する人間的な姿勢」には「女性を慈しむ・人権を尊重する・嫌がることをしない・差恥心に配慮する・話をよく聞く」などの機能があること、「組織や環境における助産婦の位置」には「利用者(妊産褥婦や家族)に信頼されている・スタッフに尊敬されている・地域に貢献している・他機関と密に連携をとる」などの機能があることが確認された。
|