昨年度に引き続き行った第1・2次調査の分析と補足的データ収集により、以下の結果が導き出された。 1.開業助産師の卓越した技の構造 開業助産師の卓越した技は、以下の「構造」(【…】で表現する)を有していた。それは、【豊富な知識を実践に応用する行為】【実践に対する人間的な姿勢を表す行為】【実践の場における自己の位置を確保する行為】であり、卓越した技はこれらの行為が複雑に組み合わされた状況で生じることを確認した。 2.開業助産師の卓越した技の機能 開業助産師の卓越した技が妊産婦の支援において有する働き、すなわち「機能」(以下〔…〕で表現する)を、「構造」毎に分類した。 【豊富な知識を実践に応用する行為】では、助産師の技は〔対象を通して理論知と実践知の統合を促す〕〔経過判断を助け、今後の見通しを立てる〕〔対象の関心を引きだし、持続させる〕〔対象の健康を多側面から整える〕という機能を有していた。 【実践に対する人間的な姿勢を表す行為】では、助産師の技は〔人権を尊重する〕〔対象を慈しむ〕〔対象と助産師に相互の存在を認識させる〕〔人間関係の形成を助ける〕〔快適さを提供する〕〔助産師に自己の限界を知らせる〕という機能を有していた。 【実践の場における自己の位置を確保する行為】では、助産師の技は〔助産師への信頼を深める〕〔スタッフに助産師への尊敬の念を抱かせる〕〔地域への貢献を促進する〕〔職能として活動の場を拡大する〕〔他機関との連携体制を整える〕という機能を有していた。 3.卓越した技の効果 妊産婦支援における開業助産師の卓越した技の結果として、《妊娠貧血を改善する》《骨盤位を矯正する》《分娩進行を促進する》《会陰裂傷を予防する》《乳汁うっ滞を改善する》など、対象に効果的な現象が生じたことを確認した。
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