5歳児をもつ母親360人と、その実母・義母(5歳児にとっての祖母)720人を対象に、5歳児の母親が自分の実母・義母から受けている育児支援の実態、実母・義母が孫育児に関して提供する育児支援の実態、それらの関連要因、双方の認識のずれを明らかにした。 三世代同居率が高く、育児期の女性の就業率が高い山形県において、5歳児をもつ母親は、実母や義母から、育児に関する情報、精神的サポート、子どもの世話や家事というサポートを受けていると認識し、その育児支援に満足していた。また実母や義母にそのような育児支援を期待していた。その実母・義母は、孫の親に対し、育児に関する情報を提供したり、育児で困ったとき思いやりを示したり、孫の世話や家事の手伝いにより育児を支援していた。5歳児が娘の子であるか息子の子であるか、同居か別居かによって、育児支援の程度は異なっていた。 祖母の育児に関する情報を孫の親に提供する程度や精神的サポートをする程度が高いと、祖母の自尊感情や主観的幸福感が高かったが、育児支援の程度と疲労との間には有意な関連はみられなかった。育児支援を提供することは祖母にとって生きがいとなり、祖母の健康に肯定的に影響することが示唆された。 5歳児の母親が実母に期待する育児支援の程度と、実母が母親から期待されていると認識する育児支援の提供程度は、概ね一致していたが、5歳児の母親と義母間では一致する者は少なかった。同居別居にかかわらず、母親は実母に育児支援を期待していた。 祖母による育児支援は、育児支援の受け手側、提供側双方にとって肯定的な意義があるが、育児支援の受け手側である母親の期待の程度や、提供側の意識を確認することが、効果的な育児支援に必要であることが示唆された。
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