糖尿病性腎症患者は、透析の除水による末梢循環不全の影響により、糖尿病合併症である下肢壊死や潰瘍を起こしやすい。本年度は糖尿病性腎症患者の透析時の除水と下肢末梢循環動態の関連について検討した。平成12年度は関連する文献収集とその検討を行い、さらに平成12年9月11日〜9月22日にはアメリカ合衆国のEmory University Wound Ostomy Continence Nursing Education Centerで、糖尿病性足病変患者の看護ケア(1.糖尿病性足病変部のアセスメントとケア方法、2.足病変の徴候を早期に発見するための下肢虚血状態や知覚状況の診断方法、3.足病変部を予防するためのフットケア等)および透析時のフットケアについて米国の実情を視察し、当該センターの研究者と意見交換を行った。 以上の情報収集をもとに具体的な実験方法を検討し、平成13年2月に、健康な20歳代の女性5人を対象に、プレテストを行った。循環動態を皮膚血流、皮膚表面温度をレーザードップラー血流計、サーモグラフィなどを用いて測定し、さらに主観的データ、全身の循環動態ともあわせて測定し、末梢循環不全予防ケアをさまざまな条件で比較した。また同時に、糖尿病性腎症患者は容易に皮膚損傷を起こすため、皮膚の損傷が少ない実験方法についても具体的に検討した。現在、それらの結果を分析・検討している。なお、来年度始めには糖尿病性腎症患者の透析時に測定を行う予定である。
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