糖尿病性腎症患者は透析の除水によって末梢血管が収縮し、下肢の循環障害をきたしやすいため、糖尿病の合併症である下肢の潰瘍や壊死のリスクを高めやすい。そこで、本年は糖尿病性腎症患者の透析時の下肢末梢循環状態を定量的に測定し、透析による除水と下肢末梢循環状態への影響を確認するため、以下の調査を行った。 平成13年12月〜平成14年3月末に、兵庫県の一透析施設で維持透析をしている糖尿病性腎症患者30名と慢性腎不全患者30名(コントロール群)を対象に、透析時の4時間、両足背部にレーザー・ドップラー皮膚血流計を装着し、除水進行にともなう下肢皮膚血流値、血圧、脈拍、体温、透析温度、時間除水量等を測定した。特に、糖尿病性腎症患者には足の神経障害の状況を客観的に測定するため、両足背部、足底部、足指にモノフィラメントテスト(2.83、3.61、4.31、4.56、5.07、6.65のサイズを使用)や超音波血流検知器を用いて下肢末梢の血行障害を確認した。さらに調査前後の血液データー(TP、GOT、GPT、ALP、KT/V、BUN、Cr、UA、Na、K、CL、Ca、P、CRP、WBC、RBC、Ht、Fe、総コレステロール、BS、HbAlc、CTR、DW、BW)や治療状況等の情報を収集した。現在、これらの結果を分析、検討している。なお、来年度初めには糖尿病性腎症患者に透析終了時に下肢末梢血管拡張を促す、安全で効果的な足浴方法を実施しながら、下肢皮膚血流を測定する予定である。
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