平成14年度も前年の研究を継承し、史料の調査および学会等での発表をおこなった。調査では日本学士院、内閣文庫、宮城県立図書館伊達文庫等での文献調査を実施した。これらの調査を通じて、和算に漢訳西洋暦算書の三角法と三角関数表が入りこんでいる事を明らかにするとともに、剣持章行や法道寺善らの研究に角度の概念が生まれていることを解明することが出来た。また日中数学交流史の視点においては、近世における中国数学・天文学書の伝播と影響を18C前半と19C後半の2期を明確にすることができた。これらの概様については2002年に開催された中国での2つの国際学会で、また日本科学史学会・日本数学会の特別講演で報告した。なお、3年間の研究の様子は研究成果報告書『近世日本への漢訳西洋暦算書の伝来と和算への影響』としてまとめた。
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