本研究は、子どもの家庭・学校・地域での自然遊びやスポーツにおける諸問題を「身体」(生きる力・ゆとり・こころ)に関する心理・社会学的パースペクティブから考察すること、特に、野外におけるさまざまな遊びやスポーツの実験を通じて、子どもの「こころ・からだ」の変化の容態を記述し、「子どもの『笑顔』の身体論的意義に関する論理的考察」をもとにそれらを分析することを目的とした。 13年度は、12年度の成果をもとに、イニシアチブゲームや「子どもの自然遊び」等、合計45回にわたるさまざまな観察、参加観察(共援)、支援、指導、実験を行い、「子どもの笑顔の身体論的意義に関する論理的考察」を深めた。 その結果、次の事がらが明らかになった。すなわち、 ・自然遊び・スポーツにおける体験が子どもの「からだ・こころ」(身)の「錯綜体」において生きる力の「引き出し」として機能し得ること、 ・笑顔は、子どもを包む環境において「安心」と「信頼」が確保されていることが条件であること、 ・笑顔は、子どもの身体アイデンティティ(歓喜)の自然な表出であること、 ・笑顔は、それ自体が、仲間との身体コミュニケーションであること、そして、 ・そうした他者との身体的かかわりが、子どもの成長に不可欠であること(笑顔の教育的意味)、である。 今後は、身体論における笑顔の位置づけに関する考察をさらに深め、条件と焦点をしぼった研究を行い、その結果を、ITによるネットワーク化を通じて、拡充し、練り込んでいきたい。
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