運動時の循環調節における生理活性ペプチドの役割

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12680012
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 入鹿山 容子 筑波大学, 体育科学系, 助手 (90312834)
• 研究分担者: 宮内 卓 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60222329) ; 松田 光生 筑波大学, 体育科学系, 教授 (20110702)
• キーワード: エンドセリン-1 / NOx / 慢性運動トレーニング / VO_2max

研究概要

【目的】血管内皮細胞が産生するエンドセリン-1は、運動により産生され、その産生は臓器特異的であることが示された(J Appl Physlol,1994,1997,and 1998)。エンドセリン-1は強力な血管収縮物質であるとともに、ノルエピネフリンの血管収縮作用を増強することから、エンドセリン-1が運動中に生じる血流再配分に直接的あるいは間接的な関与をしている可能性が考えられる。また、NOは、内皮細胞から遊離され、血管拡張作用や抗動脈硬化作用を有する。今回は、ヒトで実際に慢性的に運動トレーニングした場合の、血中エンドセリン-1、NOx濃度の変化について検討した。
【方法】若年者に、70%VO_2maxで3-4日/週、8週間exercise trainingをほどこした後、最後のtraining終了8時間後採血し、exercise training開始前に採血したものをコントロールとして、血中エンドセリン-1、NOx濃度を調べた。血中NOxとエンドセリン-1濃度は、脱トレーニング期も経時的に検討した。
【結果】VO_2maxは、トレーニング後有意に増大した。血中NOx濃度は、トレーニング後有意に上昇し、その上昇は脱トレーニング4週目まで持続した。一方、血中エンドセリン-1濃度はトレーニング後有意に低下し、その低下は脱トレーニング4週目まで持続した。
【考察】血中エンドセリン-1濃度はトレーニング後有意に低下し、その低下は脱トレーニング4週目まで持続した。これらの結果から、運動トレーニングはNO産生を高め、その効果は数週間持続することが示された。一方、エンドセリン産生はトレー二ングにより低下し、その低下は数週間持続することが示された。トレーニングにより上昇したNOxによる、エンドセリン-1産生の制御機構が存在することが示唆された。

研究成果

• [文献書誌] Yoko I. Tomobe, 他5名: "Dietary Docosahexaenoic Acid suppresses inflammation and immunoresponses in contact hypersensitivity reaction in mice"Lipids. 35. 61-69 (2000)
• [文献書誌] Kazuya Morizawa, Yoko I. Tomobe 他4名: "Dietary oils and phospholipids containing n-3 highly unsaturated fatty acids suppress 2,4-dinitro-1 fluorobenzene-induced contact dermatitis in mice"J. Jpn. Oil Chem. Soc.. 49. No.1,. 59-65 (2000)
• [文献書誌] Yoko Irukayama-Tomobe, Satoshi Sakai, Takashi Miyauchi: "Chronic treatment with probucol effectively inhibits progression of pulmonary hypertension in rats"Life Sciences. 67. 2017-2023 (2000)
• [文献書誌] Spyridon Lazaratos, Yoko Irukayama-Tomobe 他3名: "Oxygen radicals mediate the final exacerbation of endothelin-1-induced gastric ulcer in rat"European Journal of Pharmacology. 413. 121-129 (2001)
• [文献書誌] Seiji Maeda 他9名: "Effects of exercise training of 8 weeks and detraining on plasma levels of endothelium-derived factors, endothelin-1 and nitric oxide, in healthy young humans"Life Sciences. 69. 1005-1016 (2001)
• [文献書誌] 入鹿山容子, 宮内卓: "高血圧 : エンドセリン受容体拮抗薬"日本臨床. 286-291e (2000)