研究概要 |
医学的な検査手法を用いず簡便に内臓脂肪面積を検出するための推定式を細胞内外抵抗及び形態計測の諸項目を用いて算出した.被験者の構成は18歳から69歳までの82名(男性51名,女性31名)である.肥満学会の肥満判定基準に準拠し,BMI25以上の肥満者は男性7名,女性2名であり,内臓脂肪型肥満(内臓脂肪面積100cm^2以上)を示す男性は5名,女性では4名であった.男女別の臍高部CT像より算出した脂肪面積は皮下脂肪で106.2cm^2,120.2cm^2,内臓脂肪で46.2cm^2,34.2cm^2であった.インピーダンス測定の再現性,CT像と超音波による皮下脂肪測定の検討を行ない,いずれも高い再現性と相関関係が得られた.上腕囲,腹囲,胴囲及び大腿囲は男性で高値傾向にあり,皮下脂肪厚は上腕部,肩甲骨下部,臍部,腸骨上部,大腿部の前後とも女性で高値を示した.インピーダンス測定の電極配置は(1)右肩-左臍部,(2)右肩-右腰部,(3)右腰部-左臍部,(4)右臍部-左臍部の4箇所であり,いずれの細胞内外抵抗とも女性で高値が観察された.内臓脂肪面積と細胞内外抵抗との関係を見ると男性の細胞外抵抗(Re)と(3)の間で0.668,細胞内抵抗(Ri)と(1)の間で0.639,(2)で0.628,(3)で0.857,(4)で0.698と有意な相関が得られた.女性ではRiと(2)の間で0.741,(3)で0.776,(4)で0.770であった.また内臓脂肪面積と高い相関が得られた項目は男性で腹囲の0.825,腹囲/胴囲比の0.723,臍部脂肪厚の0.760,肩甲骨下部の0.709であり,女性では腹囲の0.829であった.内臓脂肪面積の多寡別に高値群10名,低値群10名を選び周波数ごとの抵抗値,リアクタンス,位相角のトレンドグラフを見ると両群間に顕著な相違が観察された.内臓脂肪面積を目的変数として重回帰分析を求めた結果,内臓脂肪面積=2.97*BMI+1.15*年齢+1.01*胴囲+0.73*腹囲+0.54*(3)Ri-216.08であり重相関係数は0.81であった.
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