研究概要 |
平成14年度の主要な計画は、体育における学習意欲を多面的・総合的に診断するシステムの開発であった。具体的には、(1)「体育における学習意欲」「学習意欲の支持要因」「学習行動の選好」を測定する尺度の信頼性および妥当性を、4府県下(愛知県、滋賀県、大阪府、熊本県)の公立小学校5年生および6年生の男女計1,562名を対象に検討すること、(2)体育における学習意欲の類型化をクラスター分析によって行うこと、(3)体育授業以外への興味・関心(他教科の興味、諸活動の興味と体育の楽しさ)も含めて診断システムとすること、(4)各尺度の評価基準、診断プロフィールを作成することを通して、体育における学習意欲診断システムを完成させることであった。 種々検討の結果、本診断システムは、体育における学習意欲(短縮版AMPET)、学習意欲の類型(パターン)、学習意欲の支持要因、学習行動の選好、他教科や諸活動の興味、現在行われている体育授業の楽しさを測定できることが明らかとなった。また、各尺度は5段階評価によって診断プロフィールの形で示すことが可能となり、本診断システムを実際に利用した5人の体育担当教師に対して感想を求めたところ、いずれも肯定的な内容であった。 以上のことから総合的に判断して、「体育における学習意欲診断システム」は、教育の実践場面において十分有効利用できるものであることが認められた。本診断システムによって提供された情報をどのようにして実際の指導に結びつけていくのかという具体的な学習指導への橋渡しが今後の課題である。
|