研究概要 |
水泳技能は,ヒトが発揮する推進力と水の抵抗のバランスが重要な要素の一つと考えられる.平成12年度に水泳時の水中映像と水から受ける力を同時にグラフィカルに表示するバイオメカニクス的にコーチングを支援するシステムを作成した. システム概要は,次のとおりである.水中映像撮影部分:遠隔操作可能な水中モニターシステムを用いることにより,水泳ストロークのズーム及びパン画像を長時間にわたって得ることができた.水中牽引抵抗測定部分:多目的電動リールに速度センサーと張力センサーを装着し,泳者にハーネスを装着しアラミド繊維により牽引した.データ処理部分:牽引速度と牽引張力のRS232-C出力をノート型パソコンに取り込み,Visua1 Basic(c)によって,データ取り込み,グラフィカルなリアルタイムデータ表示,平均抵抗値の算出,データ保存,データ呼び出し,グラフ印刷のプログラムを自作した.水中映像とPC出力の同期部分:ビデオミキサーを用い,水中映像とPCの牽引抵抗値の経時変化グラフ画面のビデオ出力を一画面に合成し,ビデオデッキに出力した.これによりと両者の対応を詳細に示すことができるシステムが構築できた.選手,コーチへ本年度構築した動画によるフィードバックに加え,印刷出力による要点提示を工夫すると,一層理解が促進されるものと推察される. 以上のシステムを用い,25m牽引実験を行った.水面でストリームライン保持姿勢における牽引では安定した結果が得られた.水泳時には,ハーネスの装着状態により泳動作の上下動が牽引張力に影響することが伺われ,来年度の改良課題となった.
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