わが国では、スポーツ都市づくりや地域における総合型地域スポーツクラブの育成・整備に関する関心が高まっている。本研究の目的は、スポーツ環境指標を用いて、スポーツ都市(スポーツのまち)づくりへの支援プログラムを開発することにある。研究初年度の平成12年度は、市レベルに開発されたスポーツ環境指標を町レベルに適用できるように、調査項目の検討を行った。 平成12年9月に文部省から出された「スポーツ振興基本計画」の内容を検討することから始めた。同計画によれば、現在、35%である国民の定期的スポーツ実施者を2010年までに50%にまで向上させるという。そのために、全国のすべての市町に総合型地域スポーツクラブの育成し、その支援を広域スポーツセンターが担うという。そこで、福岡県と富山県の広域スポーツセンターにおいてヒアリング調査を行い、具体的な市町に対する支援事業を調査した。また、総合型地域スポーツクラブの現状に関して、愛知県半田市の成岩スポーツクラブや日本スポーツクラブ協会等においてヒアリング調査を実施し、日本における地域スポーツクラブの会員数や組織に関する調査を行った。その結果、わが国における地域スポーツクラブは単一種目型がほとんどで、会員数もバレーボールにおいては約20名と規模が小さく、クラブの長期的存続において問題があること、そして、市町においても神戸市のように市町独自の総合型地域スポーツクラブの育成に関する支援が有効であることが明らかになった。このようなフィールドワークにより、スポーツ環境指標の町版の開発においても、市町独自のスポーツ振興計画や総合型地域スポーツクラブの支援に関する項目を検討すべきことが明らかになった。 また、兵庫県により県内の全小学校区において、地域スポーツクラブを育成する「スポーツクラブ21ひょうご」事業が始まったが、市町レベルにおける推進委員会の設置や準備状況に関するフィールドワークを実施した。これらの調査結果に基づき、町版のスポーツ環境指標の開発を行った。また、海外のスポーツ都市づくりに関するフィールドワークを行い、調査の成果を整理した。
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